家族信託の実務では、そのほとんどを受託者が行います。このため受託者の権限は大きく、家族信託がうまく運用されるかは受託者次第ということになります。例えば、賃貸アパートや駐車場などを信託財産とする家族信託の設定は、一般的ですが、これらの管理・処分のための受託者の義務と責任は重く、実務の稼働も大きい場合があります。仮に、管理の一部を外部の不動産管理会社に委託した場合でも家主(受託者)が果たさなければならない責任事項は数多くあるので受託者の義務と責任はあまり軽減されません。このために、家族信託の受託者のなり手がなかなか見つからないということもまま見受けられる状況です。

家族信託における受託者の義務には、信託事務の執行義務、善管注意義務、忠実義務、利益相反行為の制限、公平義務、分別管理義務、信託帳簿の作成・報告・保存義務等があり、なかなか大変です。

上場株家族信託では、証券会社の信託口口座の開設要件を踏まえて家族信託契約の設計を行うので、受託者の義務は大幅に軽減されています(受益者は1人、受益者連続がない等)。上場株式等を証券会社との契約に基づいて信託口口座で管理しておれば、分別管理義務を果たすことができますし、信託帳簿の作成・報告義務も証券会社が毎年作成して送付してくれる「取引残高報告書」をもとに容易に作成・報告することで果たすことができます。重要なことは、受益者のために信託契約の目的達成を達成するべく株式の管理・運用・処分を善管注意義務、忠実義務に配慮して誠実に行うことです。

上場株家族信託における受託者は、その義務と責任が大幅に軽減され、実稼働もさほどではありません。受託者の負担が軽いということが、上場株信託の大きなメリットでもあります。

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